レザーのジャケットはおって♪
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孤独の中の鏡面<5>のつづき・・・
何気なく一日の仕事を終えてから、大学のゼミで帰りが遅くなった由実と夕食を一緒にとっていた。
学生のくせに食通でグルメな由実にいつも食事する店は決めてもらっているのだが、今夜は何の特別な日でもなくただの平日であり単なる『晩飯』なはずだが、当たり前の様に有名ホテルのフランス料理店にいる。
当然リーズナブルではない値段設定で、普通では少々考えがたいシチュエーションなのだが、庶民とは違かけ離れたお嬢様育ちの由実にとってはただの日常に過ぎないらしい。
いつもそんな彼女の日常に付き合わせられている自分な訳だが、相変わらずの屈託のない由実の笑顔を目の前にしていると、多少の無理が自分に取って思い込みで勘違いな満足感に感じてしまう。
味の分からないエスカルゴにナイフを通している時・・・突然携帯電話が鳴る。
東京の音楽スタジオの関係者である渡辺(わたなべ)だった。
「どうもお久しぶりです・・渡辺です。今大丈夫ですか?」
「おお渡辺か!久しぶりだな・・・今は・・ちょうどカタツムリと戯れていただけだから大丈夫だよ」
「カタツムリ?何やってるんですか?」
「ああ・・ゴメン、気にしなくていいよ。どうした?」
「実はですね・・ジャニーズ事務所なんですけど、ちょっとした成り行きでそこの専務の人と仲良くなっちゃってコネが出来て・・曲、出したら使ってくれるらしいんですよ」
「本当に?凄いなぁ・・でもやっぱそれなりにちゃんとした曲じゃなきゃいけないだろう?」
「もちろんそうですけどね。でも『嵐』とかで歌ってくれるなら売れるのも鉄板でしょうし。かなり儲かるし名前が売れますよ」
今や知らない人はいない日本の男性アイドルのほとんどを占めているジャニーズ事務所。
SMAPやTOKIO、V6、嵐などたくさんのグループがあり、様々な分野で芸能活動を行っている中に当然ながら彼らは歌も歌っている。
しかしながらこのジャニーズ事務所は特殊で、使用する楽曲は時折オーディション形式で募り採用された楽曲を歌うグループに当てはめて世に送り出す形式を取っている。
本来なら事務所所属の作曲者や音楽スタッフに曲を用意させたり、専属のミュージシャンやもしくは歌う本人達自らが曲を作るのだが、事務所に送られてくる何百何千というデモ音源の中から使う楽曲を選び、曲さえ良ければ名前が売れていないプロのアーティストからほとんど素人といってもいい人材まで無関係に選んでいるジャニーズ事務所の現状。
そのお陰で今までにも、曲が使われた事によって名前が売れた無名だったアーティストも数多い。
売れたい音楽家にとってみればいわゆる限りなく大きなチャンスになるのだ。
「それでですね・・・最近は内にも大した曲作れる人いませんし・・・・よかったら書いてみません?」
「俺が?」
「はい。ジャニーズ事務所も毎日何十と送られてくるデモテープを全部聴いてるはずもありませんし、大体は所詮コネとかで使う曲を決めてるですよね、それで今回は曲が特に問題無ければうちが出した曲を優先的に使ってくれるって言ってくれてますし、こんなチャンス滅多に無いですよ」
「確かにそうだな・・・でも俺みたいに素人が作ってもどうだろうか?」
「いえいえ、今は音楽の仕事していないだけで実力は折り紙つきじゃないですか?私ももう先方にいい作り手がいるって言っちゃいましたし、やってみましょうよ」
渡辺は妙に持ち上げる様に勧めてくる。
なんだか曲が採用されて売れれば、彼自身もおいしい事があるのが見え見えに思えた。
「まあ・・・俺的にもすごいいい話だし、とりあえず今夜の内に今までのモチ曲の中から抜粋して渡辺にメールで送るから、どんな感じかイケそうか聴いてみてくれ」
「分かりました。じゃ楽しみに待ってますよ」
それから由実には説明して早めに自宅に帰って曲を送る手配をしたいと懇願したのだったが、今夜は泊まりにくるつもりの由実は・・・
「じゃ帰ってエッチが終わってからね・・・」
感心する程の21歳という若さ故の台詞を吐いて、味気の無いエスカルゴを美味しそうに食べていた。
次回、孤独の中の鏡面<7>につづく・・・
何気なく一日の仕事を終えてから、大学のゼミで帰りが遅くなった由実と夕食を一緒にとっていた。
学生のくせに食通でグルメな由実にいつも食事する店は決めてもらっているのだが、今夜は何の特別な日でもなくただの平日であり単なる『晩飯』なはずだが、当たり前の様に有名ホテルのフランス料理店にいる。
当然リーズナブルではない値段設定で、普通では少々考えがたいシチュエーションなのだが、庶民とは違かけ離れたお嬢様育ちの由実にとってはただの日常に過ぎないらしい。
いつもそんな彼女の日常に付き合わせられている自分な訳だが、相変わらずの屈託のない由実の笑顔を目の前にしていると、多少の無理が自分に取って思い込みで勘違いな満足感に感じてしまう。
味の分からないエスカルゴにナイフを通している時・・・突然携帯電話が鳴る。
東京の音楽スタジオの関係者である渡辺(わたなべ)だった。
「どうもお久しぶりです・・渡辺です。今大丈夫ですか?」
「おお渡辺か!久しぶりだな・・・今は・・ちょうどカタツムリと戯れていただけだから大丈夫だよ」
「カタツムリ?何やってるんですか?」
「ああ・・ゴメン、気にしなくていいよ。どうした?」
「実はですね・・ジャニーズ事務所なんですけど、ちょっとした成り行きでそこの専務の人と仲良くなっちゃってコネが出来て・・曲、出したら使ってくれるらしいんですよ」
「本当に?凄いなぁ・・でもやっぱそれなりにちゃんとした曲じゃなきゃいけないだろう?」
「もちろんそうですけどね。でも『嵐』とかで歌ってくれるなら売れるのも鉄板でしょうし。かなり儲かるし名前が売れますよ」
今や知らない人はいない日本の男性アイドルのほとんどを占めているジャニーズ事務所。
SMAPやTOKIO、V6、嵐などたくさんのグループがあり、様々な分野で芸能活動を行っている中に当然ながら彼らは歌も歌っている。
しかしながらこのジャニーズ事務所は特殊で、使用する楽曲は時折オーディション形式で募り採用された楽曲を歌うグループに当てはめて世に送り出す形式を取っている。
本来なら事務所所属の作曲者や音楽スタッフに曲を用意させたり、専属のミュージシャンやもしくは歌う本人達自らが曲を作るのだが、事務所に送られてくる何百何千というデモ音源の中から使う楽曲を選び、曲さえ良ければ名前が売れていないプロのアーティストからほとんど素人といってもいい人材まで無関係に選んでいるジャニーズ事務所の現状。
そのお陰で今までにも、曲が使われた事によって名前が売れた無名だったアーティストも数多い。
売れたい音楽家にとってみればいわゆる限りなく大きなチャンスになるのだ。
「それでですね・・・最近は内にも大した曲作れる人いませんし・・・・よかったら書いてみません?」
「俺が?」
「はい。ジャニーズ事務所も毎日何十と送られてくるデモテープを全部聴いてるはずもありませんし、大体は所詮コネとかで使う曲を決めてるですよね、それで今回は曲が特に問題無ければうちが出した曲を優先的に使ってくれるって言ってくれてますし、こんなチャンス滅多に無いですよ」
「確かにそうだな・・・でも俺みたいに素人が作ってもどうだろうか?」
「いえいえ、今は音楽の仕事していないだけで実力は折り紙つきじゃないですか?私ももう先方にいい作り手がいるって言っちゃいましたし、やってみましょうよ」
渡辺は妙に持ち上げる様に勧めてくる。
なんだか曲が採用されて売れれば、彼自身もおいしい事があるのが見え見えに思えた。
「まあ・・・俺的にもすごいいい話だし、とりあえず今夜の内に今までのモチ曲の中から抜粋して渡辺にメールで送るから、どんな感じかイケそうか聴いてみてくれ」
「分かりました。じゃ楽しみに待ってますよ」
それから由実には説明して早めに自宅に帰って曲を送る手配をしたいと懇願したのだったが、今夜は泊まりにくるつもりの由実は・・・
「じゃ帰ってエッチが終わってからね・・・」
感心する程の21歳という若さ故の台詞を吐いて、味気の無いエスカルゴを美味しそうに食べていた。
次回、孤独の中の鏡面<7>につづく・・・
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