レザーのジャケットはおって♪
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旅路での恋(9)のつづき
エスプラネードの散歩道のベンチにさゆりと2人で座ったまま・・・
さゆりは申し訳無さそうに傷口をずっとハンカチで押さえてくれていました。
売春の事にはあえて一切触れずにあまり会話も無いまま1時間くらい時間が過ぎ・・・
「もうそろそろ血も止まったんじゃないかな?ちょっと見てみる」
押さえていたハンカチをずらして傷口を見てみると、血が固まって出血は治まっていました。
「ほら・・さゆり!ずっと押さえてくれててありがとう、おかげでもう大丈夫だよ」
「本当にごめんなさい・・・」
さゆりは相変わらずの泣いた後の腫れた目で言いました。
時刻も既に午前0時近くになっており、とりあえずユースホテルに帰ることにしました。
「ねぇ・・さゆり、明日さぁレンタカー借りてパロネラパークに行こうよ!俺が運転するから!」
パロネラパークとはケアンズ市内から車で2時間くらい走った所にある庭園で、そこにある小さな城はアニメ映画「天空の城ラピュタ」のモデルになった場所と言われています。
「うん・・・行きたい♪」
さゆりの表情が少し明るく戻りました。
それから2人はそれぞれの部屋に帰り、また明日のお昼前にパロネアパークに出かけることにしました。
さゆりの売春の事については、聞かなかった事にするように決めました。
事実がどうなのかよりも自分の彼女に対する率直な想いを優先し、今までの事は全て過去の事としてとらえて、これからの2人を築き上げて行こうと前向きに考えました。
次の日は約束通り2人でレンタカーを借りてパロネアパークへ行きました。
左腕にはまだ一応さゆりのハンカチを巻いていますが、何事も無かったように2人で楽しみ、さゆりも本来の姿でとても楽しそうに明るく過ごしてくれました。
夕方過ぎにケアンズ市内に戻ってレンタカーを返し、それから2人でご飯を作って食べた後にはまたエスプラネードの散歩道へ行きました。
ベンチに座るとさゆりが改めて・・・
「本当に怪我までさせてしまってごめんなさい・・・それに昨日の事も・・・」
そう昨日の事をぶり返して話して来たので
「さゆり・・・」
何も言わずにそっとキスをしました。
そして・・・
「もう何も言わなくてもいいよ・・・それより今2人で一緒にいれる時間を楽しもう」
そう言うとさゆりもうなずいてくれ、それからはベンチに座ったまま何気ない会話で2人の時間を過ごしました。
その時にしっかりと想いを告げて「付き合おう」と告白しようと思いましたが、急がずに自分も数日後にさゆりと一緒に日本に帰ってから改めて伝えようと考えていました。
次の朝・・・何事も無くいつものように起床し、それからユースホテル内のさゆりがいる部屋へ向かいました。
所がさゆりはもう部屋にはおらず出かけているようでした。
「どっか出かけてるのかな?」
それからぶらっとホテル内を探しましたがさゆりの姿はありません。
心配する中、午後になりエスプラーネドの散歩道に行き、夕方を過ぎユースホテルに戻り・・・夜になってもさゆりは見当たりません。
再度さゆりの部屋に行ってみますが、さゆりはおらずに彼女のベッドではアジア系の女性の違う人がくつろいでいました。
「すいません・・・ここのベッドで友人が何日も休んでいたのですが、その人知りませんか?」
そう尋ねてみると
「いいえ・・・知りません、私はさっきチェックインしてこのベッドを使うように言われたのです」
「えっ!?」
という事はさゆりはチェックアウトしてる?
「何かの間違いだ!」
急いでフロントに行き尋ねてみると・・・
「その日本人の女性なら今朝早くにチェックアウトしました・・・空港に向かうみたいで日本に帰るみたいでしたよ」
フロントのオーストラリア人の女性はそう言いました。
「さゆりが帰った!?」
そして・・・
「あなたはツカサさんですか?」
そう尋ねて来たので
「はい・・」
と答えると
「あなた宛にサユリさんから手紙を預かっています・・・あなたがチェックアウトする時に渡すよう言われたのですが・・・」
さゆりからの手紙を受け取りました。
ショックと動揺で足がふらつきながら自分の部屋に戻って急いで手紙を開封しました。
旅路での恋(11)につづく・・・
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