レザーのジャケットはおって♪
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今から5,6年前の夏の日・・・
お盆期間ということもあって周りの友人たちは家族と過ごす時間やそれぞれの実家に帰省したりと忙しいので、独り身の俺は誰にも相手にしてもらえない退屈な日々を過ごしていました。
何もすること無い中、作曲などの音楽活動に費やす時間はあるのでひたすら家にこもって楽器やコンピュータと向き合っていましたが、さすがに一日中毎日そんな生活をしていると体が鈍るというか固まっているような感じになってしまいます。
それで週に1~2回のジョギングのペースを上げ、気晴らしも兼ねてお盆期間中は毎日走ることにしたのです。
夜10時頃でも30℃はあったでしょうか・・ものすごい湿気と暑さの中ジョギング時のBGMにしているLOUDNESSの曲をiPodで聴きながらいつものコースを走っていました。
普段走っている時と比べるとお盆期間中のせいか、なんだか人気と車の交通量がが少ない気がします。
そんないつもより寂しい感じのジョギングコースの都市高速道路のガード下の3号線沿いを軽快に走っていると、目先左手に見える道路沿の小さな公園のベンチに人が横たわっているのが見えました。
「ホームレスかなぁ?」
見慣れないこともない光景でもあったので特に気にとめることも無く素通りしようとしましたが、横側を通るすれ違いざまに違和感を感じました。
減速して左後方を振り返り、夜間の薄暗い街灯に照らされる公園を目を凝らしって見てみると、ベンチに横たわっているのは中学生か高校生くらいの少女です。
驚いて立ち止りゆっくりと近づきながら確認すると、ショートカット気味の茶髪に白いTシャツにデニムのショートパンツの格好でこちら側に背を向けた状態でベンチに窮屈そうに横たわって・・・いや、横たわっているというより倒れこんでいるような感じでした。
「もしかしたら死んでるのかも?」
大げさに見なくてもそう思える程の光景で、さすがに心配になって恐る恐る目の前まで近づいてみると、体は小さく動いておりしっかり呼吸はして間違いなく生きているようでした。
表情を見ようと顔の方を覗き込もうとすると、少女の体が一瞬ピクッと動いてゆっくりと頭を動かしながら顔をこちらに向けてきました。
近くで見ると高校生くらいの年頃の女の子で、眠っていたようでまだ寝ぼけ眼な表情ですけど、明らかに衰弱しているのがわかります。
「大丈夫!?」
そう尋ねてみると小さく「はい・・・」と答えはしましたが、体を起こすのもつらそうで普通ではない状態なのは明らかでした。
「どうしたの?本当に大丈夫?救急車を呼ぼうか?」
改めてそう尋ねてみると・・
「いえ・・・大丈夫ですから・・」
そう拒みます。
「でも、本当に体調悪いんじゃないの?それにこんな時間にこんな所でどうしたの?」
そう聞くと少女はゆっくりと体を起してベンチにもたれかかりながら
「本当に大丈夫です・・ただずっと何も食べてなくて・・・」
「えっ?ご飯食べてないの?」
「はい・・・家出中なので・・・」
なるほど・・人気の無いこんな時間の公園で横たわっているこの少女の状況がようやく理解出来ました。
家出していて泊まれるところも無くきっとお金も持ってないので食事も出来ていないのでしょう。
「そっかぁ・・でも、こんな公園なんかで寝てたりしたら危ないし、家に帰った方がいいんじゃないの?」
「いや・・・家には帰らないです・・・」
年頃の女の子だし色々と事情を察す事は出来ますが、さすがに容体が悪い少女をこんな公園にずっといさせるのは出来ません。
「じゃぁ・・・泊まれる友達や知り合いの家とかない?そしたらそこまで送ってあげるから」
「・・・ないです」
「そうなんだ・・・でもこのままここにいても警察とかに補導されるかもしれないし」
「・・・それは嫌です・・」
「それにご飯も食べてないし体もキツイでしょ?何があったか分からないけどやっぱり家に帰った方が・・・」
そう言うとずっと俯いていた少女は初めて顔を合わせて
「あの・・・私を買ってくれませんか?好きにしていいですし・・・」
唐突な言葉に理解するのに時間がかかり、そして驚き動揺しました。
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